生物学的製剤不応性の乾癬性関節炎患者に対するウパダシチニブ の有効性:56週間の無作為・二重盲検・プラセボ対照第Ⅲ相試験

Upadacitinib in Patients with Psoriatic Arthritis and 

Inadequate Response to Biologics: 56-Week Data from the 

Randomized Controlled Phase 3 SELECT-PsA 2 Study

(生物学的製剤不応性の乾癬性関節炎患者に対するウパダシチニブ

の有効性:56週間の無作為・二重盲検・プラセボ対照第Ⅲ相試験)

 

Philip J Mease et al

Rheumatol Ther 2021;8:903-919

 

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<サマリー>

生物学的製剤に不応性の乾癬性関節炎の患者にウパダシチニブを56週間投与し、その有効性および安全性を評価した。結果、有効性はプラセボに比較し、56週間を通じて維持された。頻度の高かった有害事象として帯状疱疹があったが、ほとんどの症例は非重篤だった。

 

*本試験は、生物学的製剤に不応性の乾癬性関節炎の患者にウパダシチニブを24週間投与し、その有効性および安全性を評価した、SELECT-PsA 2 Studyの投与期間を延長した結果の報告である。

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P:乾癬性関節炎の患者

I:ウパダシチニブでの治療

C:24週までプラセボ→その後Bimekizumab

O:54週目のACR 20/50/70およびPASI 75/90/100達成患者の割合

 

<セッティング> 

・17か国123施設で登録

 

<研究デザインの型:RCT、横断研究、前向きコホートなど>

・56週間の無作為・二重盲検・プラセボ対照第Ⅲ相試験

   

<Population、およびその定義>

  18歳以上で乾癬の分類基準で確定診断され、少なくとも6ヶ月以上活動性がある患者(乾癬は尋常性乾癬で、腫脹関節3つ以上、圧痛関節3つ以上、1種類以上のbDMARDsを使用し効果不十分)。

 

   除外基準:記載なし(上記基準を満たせばOK!?)

 

<主な要因、および、その定義>

  ・ウパダシチニブ使用

(15mg/日、30mg/日)

 

<Control、および、その定義>

  ・プラセボ→ウパダシチニブ15mg/日 or 30mg/日

 

   ※PSL、NSAIDs、2種類以下のcsDMARDs/アプレミラストの併用可

   ※16週目までは乾癬に特化した治療(外用療法、光線療法、レチノイドなど)は使用不可

 

<主なアウトカム、および、その定義>

  ・臨床効果の評価項目:

   ・56週目での…

・ACR 20/50/70を達成した患者の割合

・MDAを達成した患者の割合

・PASI 75/90/100を達成した患者の割合

・sIGA(乾癬の静的全般評価) 0または1を達成し、ベースラインから2ポイント以上改善した

患者の割合

・医師による疾患活動性総合評価の数値評価尺度

 

  ・患者報告の評価項目:

   ・56週目での…

・HAQ-DIスコア

・FACIT-Fスコア

・SF-36

・SAPSスコア

・仕事上の総合的な障害に関するスコア(WPAI質問票を用いる)

・朝のこわばり(BASDAI)

・数値評価スケールのPtGAスコアによる疼痛の評価

 

  ・56週目までに報告された有害事象

 

<交絡因子、および、その定義>

・記載なし

 

<解析方法>

 ・有効性の解析は、試験薬を1回以上投与されたすべての無作為化患者を含む全解析セットに対して行われた。

 ・2値エンドポイントについては頻度と割合をまとめた。

 ・連続した評価項目については、観察されたままのデータに対して反復測定のための混合モデルを用いた解析を行い、無作為化された治療グループの各群について最小二乗平均値と95%信頼区間(CI)を示した。

 ・有害事象については、100患者年(PY)当たりの曝露調整イベント率は、各有害事象の発生時に受けた治療に基づくイベントとしてまとめ、同一患者に発生した複数の有害事象は分子に含め、95%CIはポアソン分布の正規近似に基づいて算出した。100PY当たりのの曝露調整発生率は、1件以上の事象が発生した患者数/100PYとしてまとめ、最初の事象が発生するまでの曝露量を算出し、同一患者に複数の事象が発生した場合は分子に含めず、95%CIはポアソン分布の正規近似に基づいて算出した。

 

<結果>

 ・642人が対象となり、脱落などあり最終的に下記のような振り分けとなった。

  プラセボ→ウパダシチニブ 15mg/日 69人

  プラセボ→ウパダシチニブ 30mg/日 77人

  ウパダシチニブ 15mg/日 167人

  ウパダシチニブ 30mg/日 166人

  (Figure 1)

 

 ・61%がbDMRRDsを1種類しか使用していない

  18.1%がbDMARDsを2種類使用していた

  12.9%がbDMARDsを3種類以上使用していた

  58.3%がbDMARDs以外の薬剤を使用していなかった

  1/3の患者がMTXの単剤、8.7%がMTX以外のcsDMARDsを投与、2.8%が併用していた。

  (Figureなし)

 

 ・56週目でのACR 20/50/70改善率

  ウパダシチニブ 15mg群 59.7/40.8/24.2%

  ウパダシチニブ 30mg群 59.2/38.5/26.6%

  プラセボ→ウパダシチニブ群はウパダシチニブに切り替え後、ウパダシチニブ群と同程度の奏効率で

  あった。

  (Figure 2)

 

 ・56週目でのMDA達成率

  プラセボ群に比較し、ウパダシチニブ群で有意に高かった。

  (Figure 3)

 

 ・56週目でのPASI 75/90/100改善率

  ウパダシチニブ 15mg群 52.3/40.8/26.9%

  ウパダシチニブ 30mg群 58.8/47.3/35.1%

  プラセボ→ウパダシチニブ群は15mg/日群のPASI 100を除いて、ベースラインからウパダシチニブを

投与された患者のPASI 75/90/100に近づくか、同等であった。

ウパダシチニブを投与された患者は、プラセボ→ウパダシチニブ群を投与された患者に比べて、sIGA(乾癬の静的全般評価) 0または1を達成し、ベースラインから2ポイント以上改善した患者の割合が高かった。

  (Figure 4)

 

 ・治療に起因する有害事象の発生率はウパダシチニブ15mg群の方がウパダシチニブ30mg群よりも

  低かった。重篤な有害事象および中止に至る有害事象の発生率は両群間で同程度であった。

  最も多く報告された有害事象は鼻咽頭炎と上気道感染症であった。

  最も多く報告された重篤な有害事象は蜂窩織炎および肺炎であった。

  日和見感染症は頻度が低く、ほとんどが粘膜カンジダ症であった。

  帯状疱疹はウパダシチニブ15mg群の方が、ウパダシチニブ30mg群よりも頻度が低かった。

  ウパダシチニブ15mg群で10名の患者に悪性腫瘍が発生し、5名は非黒色腫皮膚癌で、

  ウパダシチニブ30mg群で8名の患者に悪性腫瘍が発生し、4名は非黒色腫皮膚癌であった。

  深部静脈血栓症はウパダシチニブ15mg群、ウパダシチニブ30mg群でそれぞれ1例であった。

  肝障害、貧血、CK上昇はウパダシチニブ15mg群の方がウパダシチニブ30mg群より低かった。

  (Figure 5)

 

<結果の解釈・メカニズム>

・ウパダシチニブはJAK1に選択性の高いJAK1阻害薬である。

・全般的に、評価された有効性のエンドポイントはウパダシチニブ15mg群とウパダシチニブ30mg群で

 同等またはそれに近いものであった。

 

<Limitation>

・24週目以降にプラセボ群がない。

・X線写真での関節の評価が行われていない。

・試験期間が短い。

 

<どのように臨床に活かす?どのように今後の研究に活かす?>

・生物学的製剤で効果不十分であったPsA患者に有効である可能性がある。

 

<この論文の好ましい点>

・主要評価項目を宣言している点

 

<この論文にて理解できなかった点>

・併用されているPSLやcsDMARDsの影響

(担当:西見 慎一郎)

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