New-onset versus relapsing giant cell arteritis treated with tocilizumab: 3-year results from a randomized controlled trial and extension
巨細胞性動脈炎の初発と再発での治療効果の違い:GIACTA試験サブ解析
Stone JH, Spotswood H, Unizony SH, Aringer M, Blockmans D, Brouwer E, Cid MC, Dasgupta B, Rech J, Salvarani C, Spiera R, Bao M.
Massachusetts General Hospital Rheumatology Unit, Harvard Medical School, Boston, MA, USA
Rheumatology 2022; 61: 2915–2922
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<サマリー>
巨細胞性動脈炎(GCA)に対するトシリズマブ(TCZ)の効果を検討したGiACTA trialと、その後のextension studyをあわせて解析。初発患者および再発患者の寛解維持割合ならびに累積ステロイド量は、プラセボと比較して有意に低かった。
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P:TNF阻害薬使用中の50歳以上のGCA患者
I:TCZ+PSL
C:プラセボ+PSL
O:再発までの時間、累積ステロイド量
<研究デザインの型>
・RCT(第3相、二重盲検)+Open Label extension study
<Population、およびその定義>
・GIACTA試験(1年間)とその後のopen labelのextension試験(さらに2年間)に参加
した患者
・GCA(初発、再燃)
初発:6週間以内の診断
再発:6週間以上前の期間の診断+PSL40mgの2週間以上の使用歴
・50歳以上
・6週間以内に活動性あり、ESR上昇あり
・生検にて確定診断or大血管炎
・PSL20-60㎎を内服中(登録時)
・除外基準:6週以内にmPSL100㎎以上点滴
<主な曝露、および、その定義>
①TCZ162㎎皮下注毎週+PSL減量26週
②TCZ162㎎皮下注隔週+PSL減量26週
③プラセボ+PSL減量26週
④プラセボ+PSL減量52週
<主なアウトカム、および、その定義>
・52週から156週までの寛解維持
・累積PSL量
<解析方法>
・GiACTA1 trialでの2つのプラセボ分は統合して解析
プラセボ群で寛解となっていなかった患者はday1でcensor
・52週から156週までの寛解維持の検討
COX比例ハザードモデル
調整変数:初期PSL量(30mg以上か以下か)
・累積PSL量
Van Elteren test←初期PSL量(30mg以上か以下か)で層別
<結果>
・GiACTAには250名の患者が登録され、extension studyには215名が参加した。
・ベースライン時の疾患は、48%が新規発症、52%が再発であった。
・初回再発までの期間
TCZsc毎週群:初発577日、再発575日
TCZsc隔週群:初発479日、再発428日
プラセボ群:初発179日、再発224日
・累積グルココルチコイド量
TCZsc毎週群:初発3068mg、再発2191mg
TCZsc隔週群:初発4080mg、再発2353mg
プラセボ群:初発4639mg、再発6178mg
<Limitation>
・52週以降については、RCTではなく、治療に医師の判断が可能となり治療の均一性が崩れる
・再発の判断がCRPに依存する可能性がたかい。
つまり、TCZ群では再発との判断がされづらい可能性がある
(再発数が少なく判定される)
<研究の強み>
・大規模なRCTのデータを使った研究
・GIACTAの使用薬剤は、医療者および患者にはblindが保たれている
<どのように臨床に活かす?どのように今後の研究に活かす?>
・初発vs再発症例での解析はされていないものの、再発までの時間や割合、累積PSLの群間差は
ないものと考える。とすると、ACR2021でのGCAの診療ガイドラインの記載の初発時のTCZの使用
推奨はせず、EULAR2018、BSR2020の
<この論文の好ましい点>
・GIACTAの使用薬剤は、医療者および患者にはblindが保たれている
担当:矢嶋 宣幸